
デザインの決め手は、ちょっとした“しっくり感”
「選ぶ」という仕事 —— ロゴと壁紙がつながった瞬間
空間づくりの仕事において、「選ぶ」という行為にはいつも迷いがつきものです。
特に壁紙のように、面積も大きく空間の印象を左右する要素は選定に時間がかかるもの。
何十種類もサンプルを並べて質感や色味、照明との相性などをひとつずつ確認しながら検討を重ねていきます。
以前担当させていただいたオフィス改装にあたり、やはり壁紙選びでずいぶん悩みました。
こんな壁紙を貼ったイメージを思い浮かべたり——
この壁紙は少しイメージと違うか?など試行錯誤を繰り返します。
う〜〜んと悩んでいる中、ふと目に入った壁紙に直感的に「これだ」と感じたんです。
その理由は後からわかりました——
それは、クライアントのロゴにどこか似ていたから。
クライアントのロゴマークは、放射状に広がる扇のような形。
そして今回選んだ壁紙にも幾何学的な繰り返しと、中心から広がるようなニュアンスがありました。
全く同じ形ではないけれど、どこか共通する雰囲気があって「これだ」と思えたんです。
頭で考えるより先に、しっくりきた感覚がありました。
選ぶという仕事は、ただ「正解」を探すことではなく、その場に最もふさわしい「らしさ」や「意味」を見つけること。
数ある候補の中から、自分の直感と理性のバランスで「これ」と決める。
それが、空間をつくる人間にとっての日常であり醍醐味でもあります。
今回のようにロゴと空間の意匠が自然につながったとき「ちゃんと考えてきたことは、どこかでつながるんだ」と実感します。
迷いに迷って選んだ先に、偶然ではなく必然のような答えが見つかる。
そんな瞬間があるから、空間づくりの仕事は面白いのかもしれません。
【あさひ行政書士法人 デザイン実績】