
新しい商業施設の可能性をVISONで考えた
今年の春のことですが、三重のVISONへ行きました。
VISONを最初に知ったのは、商店建築の記事。
誌面を見た瞬間、「これまでのショッピングモールとはまったく違う」と感じたのを覚えています。
これまでの商業施設といえば、ひとつの大きな建物の中にブランドが入り、
ある程度決められたルールに沿ってファサードを整えていくスタイル。
どこに行っても一定の完成度があり、整っている反面、地域らしさは見えにくい。
でもVISONは、広大な土地を“そのまま生かしている”設計でした。
上に積むのではなく、横に広がっていく。
そんな発想に、「これからの商業のあり方のヒント」があるように感じて、ずっと行ってみたいと思っていました。
行って感じたこと
実際に訪れてみると、最初に見える大きな屋根の建築の迫力に目を奪われました。
屋根の下では、地元の方が出店している小さなマーケットがあったり、
トラックをおしゃれに改造したお店があったり。
デザインされた販売スペースもあり、
野菜なども販売されていました。
地元の農家さんをとても大切にしているように感じました。
オシャレにキレイにだけではない、“想い”がしっかりと形になっている印象です。
サンセバスチャン通り
1階が店舗で、2階は宿泊スペース。
お店の上を活かした使い方がとても面白いですね。(^^)
「美醂 VIRIN de ISE」では、みりんが作られる様子をガラス越しに見学できたり、
「蔵乃屋」では味噌づくりを体験することもできました。
敷地全体の緩やかな高低差の使い方も美しく、ひとつの“村”のようにデザインされている印象でした。
デザインとして感じたこと
VISONは単なる「商業施設」ではなく、“人の体験そのものをデザインしている場所”だと感じました。
そこには「動線設計」や「ブランド構成」以上に、“人と土地の関係性をデザインしている”という思想がある。
従来のように囲い込む施設ではなく、開かれた空間の中で地域や自然と人が混ざり合うような構成。
僕自身、店舗設計をする中で「土地の力をどう活かすか」という視点を持つことがありますが、
VISONの空間づくりには、その考え方を深めてくれる多くの気づきがありました。
これからの商業デザインに思うこと
VISONを歩いていて感じたのは、「観光」と「日常」のちょうど間にあるような場所だということです。
ただ、観光を目的とした設計だからこそ、 日常の暮らしに少し落とし込むのは難しいのかもしれません。
価格帯やお店のつくりも、どうしても観光寄りになる印象でした。
実際、僕も食事をしようと思ったとき、 もう少し地元の空気を感じたくて別の場所に行ってしまいました。(笑)
でも、それが悪いというよりも、 「もしこのコンセプトをもう少しコンパクトに、
日常の延長に落とし込めたらどうなるだろう?」 そんな可能性を感じました。
小さな“商業の村”というヒント
VISONは、“観光地”として完成されているだけでなく、
地方の商業や街づくりを考える上で、たくさんのヒントがある場所でした。
空き家や空き店舗が増える中で、 もしそこに“地域と観光のあいだ”のような小さな商業の仕組みをつくれたら、
暮らしと経済を少しずつ動かせるのではないか。
VISONを見て、「小さな村のような商業空間」という考え方に、 大きな可能性を感じました。
観光のためだけでなく、日常を支える場としての商業デザイン。
そのバランスをどう取るか── これから考えていきたいテーマのひとつになりました。
【その他のメモ書き】
















